MUSON MAX1 4Kアクションカメラ レビュー - 1万円クラスのアクションカメラ。大きな欠点のない、堅実な製品でした!(実機レビュー)
1.スペック
静止画解像度:20MP、14MP、10MP、8MP
撮影解像度(動画):4K/60fps or 30fps、FHD/120fps or 60fps or 30fps、HD/240fps
搭載センサー:IMX078(ネイティブ1200万画素)
レンズ:球体レンズ(画角170度)
画面サイズ:2インチ
バッテリー:1,350mAh/4.995Wh(交換用バッテリーと2つのバッテリーに対応する充電器付属)
重量:約45g
サイズ:約60×30×26 mm
ちなみに4Kは3,840×2,160の方ですね。なお、SONYのIMX078は低価格帯らしい(ほかにもパナソニックとかのチップ採用品もありますけどね)、と言ってしまうと失礼ではありますが例えば同じSONYでより高スペックなIMX117やIMX377を採用した機種は海外サイトの古い機種でさえ13,000円前後はします。国内での購入だと20,000円は用意する必要があるわけで。またそういった機種でも4K/60fps対応品はほぼ存在しません。
また、MUSONというメーカーはアクションカメラとは無縁だった私も知っている程度には知名度があります。低価格帯の製品では随一のネームバリューなのではないでしょうか。「画質をとにかく優先する代わり、壊れた時は諦めるから使い捨てる覚悟で2万円支払う」という方であればより高スペックな無名メーカー品は探し出せるかと思いますが、そうでないなら色んな意味で「安牌」な製品です。
2.筐体
まず本体を。ラバーのような質感の筐体になっています。本体はかなり小さくUSBメモリと比較してもこんな大きさです。前面はレンズとモード切替用ボタンがありますね。このレンズですが球面になっており傷を入れないように注意する必要はあります。モード切替ボタンは長押しで電源のオンオフ、軽く押せば動画、写真、設定へ行き来できます。
デザインもシンプルですね。これが意外と珍しいんです。どうしても低価格帯のアクションカメラってどでかく「4K」とかって書いていていて、率直に言ってすごくダサいことも多いんですけど、この見た目なら高級感も十分。安い機種には見えないですよね。
裏面には液晶。液晶は多くのコンデジ等と同様、視野角などは狭いですが特に使用上問題は感じませんでした。タッチ操作は非対応ですが価格を踏まえればある意味当たり前かなとも思います。それにこの小さい液晶ではタッチ操作も結構大変かなと。
天面は撮影ボタンとLED。このLEDは青色に光ります。撮影ボタンは2段式ではない一般的なものです。この撮影ボタンは設定画面だと決定ボタンを兼ねています。
右側面には上下ボタンとスピーカー。この上下ボタンはメニュー選択等で活用します。
左側面にはマイクジャック(2.5mm)、microHDMIポート、microUSB、microSDカード挿入口がありますね。
底面にはバッテリー挿入口があります。
また、遠隔操作が可能なリモコンも添付されています。こちらも裏表の写真を掲載しておきます。表面には録画及び写真撮影用のボタンがあり、裏面には特に何もなし。このリモコンはボタン電池(CR2032)で動作します。
また、付属品がかなり多いんですよね…。ひとまず本体とリモコン以外を写真に載せてみました。
かいつまんで説明すると、
・予備バッテリー
・本体防水ケース(ボタン操作も可能。外部マイクは使用不可。水深40mまで対応可)
・マウント用パーツ各種(これが一番多いです。)
・ベルクロストラップ
・固定バンド
・外部マイク(2.5mmモノラル)
・ふき取り布
・説明書
・交換用バックドア
・USBケーブル
・結束バンド
・スチールライターロープ
・リモコンバッテリー
・リモコン用リストバンド
が付属されています。マウントパーツの中にはポールへの固定が可能なグリップ付きのもの等もありますし、角度調整が出来るような部材も複数付属していますからマウントパーツを追加購入する必要はまずないかと思います。
逆に必要なのがmicroSDカードです。4K/60fpsで撮影できるだけあって、かなり高速なものが必要ですね。Class10やUHS-1では4K/60fpsでの撮影は不安定でした。UHS-3対応品は必須です。またドライブレコーダーとして使用されたい方は高耐久品を用意した方が良いかと思います。スペック上は128GBまで対応します。
3.機能について
このアクションカメラ、かなり機能が豊富です。
・ドライブレコーダーモード
最大の注目点かもしれないので紹介します。USBによる給電に応じて自動で撮影をON・OFFします。ドライブレコーダーとして見れば衝撃で自動的に動画を保存する機能がない点は惜しいものの、心配されやすい画質については後述の通り、夜間も含めおおよそ問題ないでしょう。画角も広く実用に耐えるとは思います。なお使用中はバッテリーを外すようマニュアルに指示があります。この点は要注意。
・動画撮影
最大4K/60fpsでの撮影が可能です。これだけで競合機種は随分減るかなと。他にも特徴的なポイントとして、1080p/120fpsや720p/240fpsでの撮影(通常速度の撮影だけでなく、スローモーション撮影にも対応)が可能です。カラーフィルタ効果、タイムラプス機能、ループ録画(これはドライブレコーダー用途などに良いと思います)も搭載しています。撮影した動画はMOVファイルとして出力されます。恐らくコーデックはH.265です。
撮影の品質に関わる機能としては露光調整に加え、6軸手振れ補正(電子式)やオートローライト(細かい説明はないもののGoProの場合だとフレームレートを減少させて光の取り込み量を上げることで暗部表現を高める機能)も搭載しています。
・写真撮影
最大20MPでの撮影が可能です。ただセンサー側の対応範囲は超えているのでソフトウェア補正ありきの解像度でしょう。なおカラーフィルタ効果も設定可能です。アクションカメラとしてはおまけ機能だとは思うのですが、後でお見せする作例ではそう言い切るのが勿体ない質を実現していますね。画角が広い分、指が映り込まないよう注意する必要はあります。
なお、ISOは自動および100~3200まで調整可能で露光調整、連射(最大30連射)、長時間露光(最大60秒)に対応しています。数値選択ではなく選択肢を選ぶ設定なので振れ幅はそう多くないですが、ノイズを抑えたりする工夫は出来そうですね。
・その他機能
便利なのが「iSmart DV」アプリに対応したWi-Fi接続機能でした。接続面ではWi-Fiダイレクトに近いでしょうか。スマホに対応アプリを導入して接続をすることで撮影の操作に加え、映像中の映像をスマホ上で確認したり、保存した写真や動画をダウンロードしたりすることが可能となります。なお、当然使用中はスマホ側のWi-Fiの利用が出来なくなりますがそれで通信が出来なくなるならかえって都合がいいかもしれません。スマホの通知音は動画撮影においては事故の元なので…。撮影の際に本体を動かしながら映像を確認できる点は本当に素晴らしいです。
4.画質等
とりあえずスマホ(Xperia XZ Premium)の写真を1枚。この車を用いて車内外を撮影してきました。
雨天で申し訳ないのですが友人に協力を依頼して動画なども撮影しています。なお、撮影時は環境を探すため県外への移動を伴う状況でしたが、県外においては他の方から30m以上距離を取れる環境でのみ車外へ出ております。ご容赦ください。
それと音声に色々要らない音が混じっていたので音声消去の上、時間の尺に見合った曲(自作)を付けていますが、合わせてこの点もご容赦ください。
今回、基本的に4K/60fpsで撮影をしています。ドライブレコーダーとして活用できる点も訴求されている製品ではありますが、確かに暗部でも撮影が出来ていますね。(特に動画後半の一般道は街灯なども殆どないような状況ですが撮影が出来ているのが分かります)この機種、170度の画角を持つカメラなのですが歪み補正(トンネルを走行しているカットやそれ以降は補正をしています)をしていると違和感は特にありません。画質も4Kらしいか、と言われるともうひと頑張り欲しいところですが必要十分だと思いますね。特に色調はややマチュアに振ってはいますが、かなり健闘しているように思います。光源に対する処理(レンズフレアの抑制)等も価格見合いで考えれば及第点かなと。なお4K/60fpsの場合、マニュアル上ではオートローライト機能のONOFFを適宜使い分けるように指示があるのですが、通常使用においては常時OFFで問題ないように思います。
ちなみに左上に表示される時間(本体初期化した後設定し忘れました…。)はONOFF可能です。
また、動画上で音声を消していますが、元々マイクを取り付けなくても外部の音を録音してくれる仕様にはなっています。ただ音質はおまけ程度といったところ。付属のアナログマイクを使用すれば拾える音のディテールや範囲がより多くなるのに加え、そこそこの音質にはなってくれる、といった感じですかね。反面ノイズが目立ちますし率直に言えば「非搭載時では音質がNGな状況下でも耐えうる」質ではありません。また、更に風切り音低減をONにした場合にはノイズフロアそのものが上下するような調整がなされ、人によってはより気になるかと思います。ノイズの感じからして恐らく本体そのものに起因しているので、マイク交換はあまり意味をなさないでしょう。素直に別録りした方が良いと思います。
動画の話に戻りますが、4K/60fpsという高スペックな撮影フォーマットだけが売りと言うわけではなく、1080p/120fps、720p/240fpsでの撮影も可能である点も注目に値するかと思います。参考までに720p/240fpsのスローモーション撮影も紹介します。
どうしても光の取り込み量が減少するため暗い絵作りになってしまうのが残念ですが、このようにベースの弦の振動が面白いように分かるんですよね。ちょっとした映像素材なんかを作りたい方にもいいと思います。(なお音は録れないようですがある意味当たり前かなと)
また、1080p以下で撮影すると自動車のナンバーが読み取れなくなるなど、少々画質で厳しい面が出始めます。環境が許す限り4Kで撮影をしたうえで1080pに加工をする使い方が良いと思います。また撮影直後はmicroSDがかなり熱を持つ点にも注意してください。
写真についても確認しておきましょう。
県外へ出る前に一枚撮影をしておきました。ナンバーが読み取れるものについては加工をさせて頂きましたがそれ以外は特に補正等していません。なお右下のタイムスタンプはONOFF可能です。それにしてもどうでしょうか。1万円のアクションカメラで撮影した写真とは思えない色表現ではないでしょうか。コンビニの屋根等はレンズ歪みがかなり目立ちますし、これは補正をONにしても回避の出来ない部分ではあるのですが、最近の複眼スマホに肉薄する表現が出来ているかと思います。これは正直驚きました。
次に停車中の自動車のメーターを。(カーナビで場所が特定できないように画面隠してます)結構この構図はコントラスト差が激しく、実際に車外の風景は白飛びしてしまっていますが、メーターの文字盤は綺麗に取れていますね。またメーターのうち中央だけが液晶なのですが、左側のメーターの軸の影もなんとか表現できていますし、メーターの液晶も境目(180のメモリの下あたりから液晶ではないです)がきっちり撮り分けられていますね。黒潰れしているのは右側のメーター上部の影部分位。ただここがきっちり撮れるカメラはそもそも少ないと思います。
最後に自動車の窓越しに車外の風景を1枚。色調としてはややマチュア(色が薄い)側に寄ってはいるもののマンションのごつごつしたブロックのディテールなどは表現できています。また、駐車禁止の看板とミニミニの看板の間辺りにある細い電線も甘いとはいえ逆光の状況下で描写出来ていますし、木の上部の葉の緑も辛うじて表現が出来ています。
他にも自室で何枚か。いずれも室内ですから多少薄暗い環境。多少ノイズは出ていますが使える写真が撮れていますね。
なお、前述の通り写真や動画にはカラーフィルタ効果も設定可能です。通常、白黒、ナチュラル、ネガフィルム、レトロ、ハイコントラストの6パターンが使用できます。
1万円のアクションカメラとして見た場合、同価格帯のコンデジと比べるのは酷とは言え、健闘していると言って良いのではないでしょうか。本来IMX078はそこまで高画質なセンサーではないのですが、かなり使いこなしているなという印象ですね…。一方、レンズ歪みの補正は写真では実質意味がなく、常に歪んだ写真になってしまうのはご愛敬。ただこのレンズ歪みはスマホではなかなか体験できない「味」でもあるので、魅力的に映る人も多いのではないでしょうか。
5.まとめ
MUSON MAX1はAmazonで10,500円(税込)で販売されています。同じIMX078を搭載した製品はAmazon内でも多数存在しますが、正直「見た目」「信頼性」「付属品の多さ」「機能性」などを確認していくと、確実に候補入りする製品だと言えます。アンダー1万円で探しているならクーポンやセールを狙えばいいわけですし。
また、MUSONというメーカー自体も日本語の公式サイトを始め、日本市場を意識しています。格安の製品だとサポート体制に不安を覚える、といった方にとっても良いチョイスだと言えるでしょう。
個人的にはスマホと連携できる点、4K/60fps撮影が出来る点、メーカーの出自がはっきりしている点、1万円フラットに近い価格で狙える製品である点から十分におすすめ出来る製品だと判断しています。初めてのアクションカメラとしてご検討されてみてはいかがでしょうか。